前回説明した通り、国のトップにはその時の国の運勢に合った宿命の人物が就く。だから、トップの宿命を観れば、その時の国の運勢が視えてくる。特にトップの選択が国の命運を大きく左右するような時代にあっては、なおさらだ。
今回は、習近平の宿命から中国の運勢を占っていこう。
彼の誕生日には二つの説がある。
Wikipediaでは1953年6月15日となっているが、その場合、命式は次のようになる。
丁 戊 癸
酉 午 巳
お気づきだろうか?
辰と巳が天中殺なので生年中殺、すなわち、親には頼れない宿命で、頼ると伸びない。
しかし、現実はどうかというと、氏は中国共産党創設メンバーだった父親のおかげで出世できた。
本当の父親は別人だというのならあり得る話だが、そうでなければ、この誕生日は多分に怪しい。
中国では共産党指導者の誕生日は国家機密らしく(※)、この記事ではもうひとつの1953年6月1日を採用する
※ https://www.sankei.com/article/20151124-7UDRWSLPVBLIHNR3LGN4MOADCI/
習近平(1953/6/1生)
癸 丁 癸 09丙辰
申 未 巳 巳 19乙卯
酉 丁 戊 戊 29甲寅
乙 庚 庚 39癸丑
己 丙 丙 49壬子
59辛亥
貫 報 69庚戌
車 司 司 79己酉
庫 禄 報 89戊申
彼は、どのような人物か?
ある有識者は、彼を「マフィアのボスのようだ」と評する。すなわち、ライバルや批判的な勢力は徹底的につぶすが、自分の懐に入ってくるひとはファミリーとして大切にする。彼は、大規模な汚職摘発で次々とライバルたちを失脚させて、古くからの友人を登用していった。
彼の陽占を観ると、跡継ぎを示す天庫星がある。家系=中国共産党の長男として保守を貫き(貫索星)、家系を揺るがすような輩やよそ者は徹底的に排除する(車騎星)。主星は司禄星で、コツコツと信用を積んでいくひとだが、これが重ねてあるから、執念深くて決して本心は見せない。さらに、天報星が2つある「動乱の英雄」という運勢の持ち主で、政局の混乱や熾烈な権力闘争を勝ち抜いてきた。こういう人物に睨まれたら怖い。
つぎに、陰占を観る
夏生まれの癸だが、根はなく、蒸発させる嫌な丁が透干して天将星の根が2つある。透干する癸が救いだが、水源の辛は(蔵干に2つだけで)弱い。
これが14億人の頂点に立つ男?!守護神法で観たら、とてもじゃないが、運は味方してくれない。
秘密は、彼の経歴にある。
習近平は、太子党(中国共産党の元高級幹部の子弟)のなかでも紅二代(日中戦争や中国国民党との内戦で活躍した幹部の子弟)というエリート中のエリートだから、ライバルよりも有利な環境にあった。
ただ、だからといって、何の苦労もなく出世できたわけではない。
父親が政敵にはめられて失脚したため、中学生の頃に糾弾されて貧しい農村に送られた(下放運動)。学校教育は中断、岩肌に掘った穴のような住居で農業に従事するが、このときの過酷な体験を通じて人間性や社会を見る目が養われたという。そして、1973年(癸丑)に(政治家の入口である)中国共産党へ入党、翌々年には推薦で名門の清華大学に入学する。
1旬では忌神(丙=禄)が周るが、彼はどん底の状況から禄=周囲の信用を勝ち得た、すなわち、苦労して忌神を消化した。だから、以後は運勢が下がりにくい。ただ、忌神の強い宿命だから、陰の世界で強みを発揮する。「マフィアのボスのようだ」という評価は、言い得て妙だ。また、共産党に入党した年は、日干支と納音、年干支と大半会となるが、自分を徹底的に改めた結果、福=生き方が大きく展開した、とも解釈できる。
その後、名誉回復で要職に就いた父親の支援を受けながら、出世の階段をのぼっていく。
田舎の村長として政治家のキャリアをスタートした1983年(癸亥)は、日干支と大半会、年干支と納音になるが、幹部らの不正を厳しく摘発した(世の汚職を改めた)ことで中央政界にも名前が知られて、結果、鄧小平の「改革開放」の最前線で仕事をするようになった。
ちなみに、彼は生日中殺だが、最初の結婚に失敗、現妻の彭麗媛とは再婚だ(彼女は「中国の歌姫」と呼ばれた国家的アイドルで、非常に気が強く、上昇志向の女性だという)。
39歳(1992年)から59歳(2012年)までは日干支と納音・準納音の大運だが、宿命とは正反対の気が周り異例の出世を遂げた。なお、強力なライバルが失脚して(権力の中枢である)党中央政治局入りした2007年(丁亥)は、月干支と納音でもあった。
そして、2013年(60歳だから年干支の律音)に(国のトップである)党総書記に就任、任期を2期10年とする制限を撤廃して異例の3期目(2023年(癸卯)は日干支と大半会)を務めている。
こうして観ると、彼は、持って生まれた運(先天運)は良くないが、動乱の英雄よろしく、周ってくる運(後天運)を上手に活かしてきたといえる。そして、2032年の誕生日までは第一守護神が周る…ということは、彼をトップに抱く中国の運勢はしばらく安泰のようにみえるが、次回述べたい。
