先日、NHKで氏のドキュメンタリー(横尾忠則 87歳の現在地)をやっていた。
氏は世界的に有名な画家/グラフィックデザイナーだが、最近人生相談の本を書いたとかで、その内容が面白い。
Q.人生は運命次第なのでしょうか?
A.僕は運命を信じている運命派です。まるで予想していなかった出来事が次々に起こり、そのすべてに抵抗せずに従った結果、まさかのまさか、絵やデッサンを職業とすることになったというわけです。
運命に逆らって己で道を開拓するか、それとも偶然の成り行きに任せるか、あなたはどちらのタイプですか?
Q.私は運命のようなものにまだ出会えていない気がします。運命はそのうち自然と訪れるものなのでしょうか?
A.運命はある日突然やってくることがあります。僕の人生でも何度も運命の分かれ道があり、そのたびにまったく逆らうことなく今日までやってきました。
運命を受け入れるというのは、予測不能な未来に身を投じるということで、とても怖いことです。
人は皆運命に導かれて生きていること、運命を受け入れるということで開かれる人生があることをお伝えできたのではないかと思っています。
ここで「運命」は、算命学では宿命だが、
氏は幼い頃に養子に出されている。
絵は独学で、美大受験のため上京するが、高校の時の美術の先生に帰るように言われたため、地元の印刷会社に就職、地方紙にイラストを投稿していたところ、その新聞社に勧誘されてグラフィックデザイナーになった。
その後、幾度かの転職を経て注目を集めるようになり、時代の寵児となる。同時に、画家たちのほか、演出家、映画監督、写真家、俳優、小説家、音楽家など、時代を牽引する多彩な人物と出会い、可愛がられた。
しかし、44歳(1980年/庚申)で突然啓示を受けて画家に転向、周囲を驚かせたが、独創的な画風が話題となり、87歳のいまも精力的に絵を描き続けている。
横尾忠則(1936/6/27生)
庚 甲 丙 09乙未
申 辰 午 子 19丙申
酉 乙 29丁酉
癸 己 39戊戌
戊 丁 癸 49己亥
59庚子
車 極 69辛丑
龍 牽 調 79壬寅
印 禄 恍 89癸卯
氏は(明確な意図はなく)自分の気持ちのまま天衣無縫に絵を描いていく。また、氏は次のように述べている。
「僕は、両親から甘ったれに育てられたから、素直だが優柔不断な主体性を持たない子だった。受験の前日に先生に帰りなさいと言われたら、はいと言って帰る。神戸新聞に入る時も人に誘われて。結婚も上司に紹介されたことから。自ら運命を切り拓いたわけではなく、100%運命に従ってきた」
天印星は赤ん坊の星で、無邪気で受け身、周囲からかわいがられるが、その質がよく現れている。
ただし、天印星は受け身でいないと良さを発揮できないから、攻撃されると助けが来るまで耐えないといけない。氏は、画家に転向したときのことを次のように述べている。
「デザイナーから画家になった時は理不尽というか呪われたと思った。でも、今は呪われた人生ではなく祝福された人生だと思うようになった。祝福されるためには、呪いや地獄を通らないといけない」
また、氏はまさにそうだが、天印星は「養子の星」といわれる。
なぜかというと、養子は実子のない家が存続するためにもらってきた子だから、居るだけで大切にされ可愛がられて、逆に余計なことはしない方がいい存在だからだ。
氏の人生には、ほかの十二大従星の質もよく現れていて、興味深い。
天極星=死人の星があるが、死は氏の作品の重要なテーマだ。天恍星には二面性があるが、氏は生と死という二つの世界を常に意識しているし、普段は穏やかだが、いったん怒るとものすごいエネルギーで怒る。
また、氏は幼少期の影響で常に死の恐怖を感じていたようだが、そこから逃れるために死を作品に取り込んで乗り越えようとしてきた。天印星らしい。
氏は大運天中殺(官中殺)でキャリアをスタートしているが、これをどう消化しているのかも興味深いので、機会があれば触れたいと思う。